犬下痢
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犬の チョコレート中毒 とは一体どんな病気?飼い主は何を注意したら良いの?

公開日
更新日

 
執筆:碧井 香 (獣医師・獣医学博士)
 
 
下痢をするには様々な要因が考えられます。自宅で様子を見ても大丈夫なものから、放っておくと死に至ってしまうものまで多岐に渡ります。急を要する治療が必要なもの、そこまで緊急ではないものなど下痢の原因によって対処法は様々です。
その中で、もっとも急を要するものの一つに チョコレート中毒 があります。チョコレートが常に手放せないほど好きな人のことを チョコレート中毒 と比ゆ的にいうことがありますが、犬にとってチョコレートは本当に中毒症状を起こす毒物です。 チョコレート中毒 とはどのようなものなのか、詳しく見て行きましょう。
 
 

チョコレート中毒 の原因

 
チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれています。カカオに含まれるアルカロイドでチョコレートの苦味成分です。カフェインが体内で代謝されると10%はテオブロミンになります。
 
このテオブロミンは人では半減期が6時間ですが、犬では17.5時間と長時間です。半減期とは体内に入った量が半分になるまでの代謝時間です。例えば10gのテオブロミンを摂取した場合、その6時間後には人の体内には半分の5gが残っている状態ですが、犬の場合、17時間30分経たないと半分の5gにはなりません。人では摂取後12時間後には2.5gになっているのに対し、犬では摂取後35時間でやっと2.5gになるのです。つまり、犬が一度チョコレートを摂取すると、その成分であるテオブロミンはかなり長い時間体内に残っている状態になり、この残留時間の差こそが犬が中毒を起こしやすい原因です。
 
 

チョコレート中毒 の症状

 
症状は、嘔吐、下痢、パンティングなどです。パンティングとは犬が舌を出して、ぜえぜえはあはあと激しく息をすることです。犬は汗腺が極端に少ないので暑いときなど、舌から蒸気を逃がし、体温調節をします。その他にもたくさんの酸素を取り込もうとするなど、様々な要因が隠されている動作です。それ以外にも、尿量増加、筋肉の震えなどがあります。これらはテオブロミンの心臓刺激、利尿、神経、筋肉に対する作用によるものです。
 
 

チョコレート中毒 の診断

 
飼い主さんにチョコレート中毒の知識があり、犬が誤って食べてしまったと認識している場合には、飼い主さんからの問診と症状で診断します。飼い主さんがチョコレートを食べてしまったことを認識していない場合には、吐物を調べます。吐物にチョコレートが含まれているので診断が可能です。
 
 

チョコレート中毒 の治療法

 
解毒剤や中和剤は存在しません。とにかく体内から早く排泄させる対症療法を行います。まずはチョコレートを吐かせることです。誤ってチョコレートを食べてしてしまったら、すぐに動物病院に向かいましょう。
 
摂取して時間が経っていなければ、まず嘔吐させることを最優先に行います。2時間以内が理想的ですが、それ以上経っていても効果が期待できます。他には洗浄や活性炭の投与で毒物を吸着するという治療を行います。
摂取量によっては死に至るケースもありますので、とにかく早急な対応が必要です。
 
 

飼い主の注意点

 
とにかく、犬の届くところにチョコレートを置かない事です。テオブロミンはココアやコーラ、お茶などにも含まれます。また、今ではカカオ含量が高いビターチョコレートが販売されていますので、より注意が必要です。
 
カカオ含量が高いほどテオブロミンの含量も多くなります。チョコレートによってカカオ含量は様々なので、どのくらいのチョコレートを食べてしまったら中毒になるのかということは一概に言えません。少しくらいなら大丈夫と思わずに、チョコレートは一切与えてはいけません。
また、銀紙ごと飲み込んでしまうケースもあります。銀紙の量が多ければ、外科的に摘出しなければならない場合もあります。
何が吐き出されたのか、吐物を観察する習慣を身に着けておくと発見が遅れずに済むかもしれません。
 
 

まとめ

 
犬が下痢をしたとき他の症状(元気がない、嘔吐、呼吸が荒い、痙攣など)が合併していたり、下痢便や吐物に血液やチョコレートが混じっている場合にはすぐに動物病院に連れて行きましょう。
 
犬がチョコレートを摂取すると高確率でチョコレート中毒を発症します。少し食べてしまったけれど、元気そうだからと放置せず、すぐに病院に行き適切な対処を取ってもらった方が安心です。中毒症状が出るまでに時間(個体によりますが4~6時間くらい)がかかります。その前に吐かせることが出来れば、それに越したことはありません。
 
 
<執筆者プロフィール>
碧井 香 (あおい こう)
獣医師・獣医学博士。
現在はフリーライターなど多岐に活動。
麻布大学獣医学部卒業 獣医師免許取得、某アニマルクリニックに勤務しながら、同大学院にて獣医学博士号取得、独立行政法人某研究所勤務、アメリカの研究機関勤務を経て今に至る。

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